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株式会社Viibar様

株式会社Viibar様は、成長著しい動画マーケティング業界において、企業の動画マーケティングの支援およびクラウドソーシングでの動画制作プラットフォームを運営する社員約40名のスタートアップ。
2015年夏、社員自らの手でコアバリューを作るプロジェクトが始まりました。コアバリュー作りのワークショップには社員全員が参加し、活発な議論が交わされました。
コアバリューは約半年間を経て、2016年4月に完成。今回、本プロジェクトで事務局を務められたお二人にお話を伺いました。

株式会社Viibar リーダー 内藤克徳様(左)
株式会社Viibar 広報 近江晶子様(右)


成長する「スタートアップ」にとってのコアバリューとは

――御社の事業内容をご紹介いただけますでしょうか。

内藤様:Viibarは「クラウド・プロダクション事業」を行っている企業です。動画を作るクリエイターと動画を作りたいクライアントをマッチングする仕事と、クライアントの動画マーケティングのお手伝いをしています。

近江様:現在はViibar独自の審査を経た3,000人超のプロの映像クリエイターの方に登録いただいています。これまでの動画制作ビジネスは、大きな代理店さんから下請けの下請けのそのまた下請けの制作会社が……といった多重構造で、途中に入る会社のマージンによってコストが肥大化するという課題がありました。Viibarは、クライアントとクリエイターをダイレクトに結びつけることでコストを抑え、質の高い動画を提供することをビジネスモデルとし、代表の上坂と内藤も含めた数名で2013年に立ち上げた会社です。

――コアバリューを作ることになった経緯を教えてください。

内藤様:Viibarが創業して2年半くらいの時期でしょうか、パートナーも含めて社員が40人程度になりました。さまざまな個人的価値観やビジョンを持った方々が入社される中で、会社として共通した価値観・ビジョンが必要になってきていました。

株式会社Viibar リーダー 内藤克徳様「Viibarっぽい」という言葉を社内でよく使うのですが、それが共通認識になっているかというと実はそうでもない。一人ひとりが少しずつ違うイメージを持っていたりします。それでは一つにまとまらないのでは、という問題意識があったことが背景の一つです。

また、スタートアップ企業として、情熱とスピードをもって市場の変化に対応できる会社にしていきたいという思いがありました。会社が少しずつ認知されていくにしたがって、クライアントやクリエイターの皆さんはもちろん、制作した動画を見てくださる視聴者の方々にも、会社としての一貫した姿勢をみせたいということもあります。

――コアバリューなどをつくり、理念経営をしていこうというのは比較的大きな企業に多く見られる傾向があると思うのですが、御社では当初から「地に足の着いた」実質的なコアバリューを作ろうとされていた印象がありました。コアバリューの策定に向けて工夫されたこと、意識されたことはありますでしょうか。

近江様:経営者がビジョナリーな会社を目指しているので、今回のようにプロセスを大切にすることには違和感を感じずに進めることができました。

 

社員全員参加のコアバリューづくり

――コアバリューづくりの具体的な進め方についてうかがいます。最初のステップとして社員の皆さんに「Viibarの価値は何か」「Viibarで働いていて良かったこと」「改善した方が良いところ」などをアンケートでお聞きしました。率直な意見を出してもらおうと匿名で実施したわけですが、実際に結果が集まって、予想外のことや新しい気づきはありましたか。

内藤様:社内アンケートを実施したのは初めてでしたが、基本的に弊社は「言いたいことを素直に言う」社風なので、いつも話していることがそのままアンケートにあらわれているなと感じました。改めて会社の方向性について確認し、全員、大きなズレはないと認識し合うことができました。一方、同様の理由で予想はしていましたが、予想以上にストレートな言葉も一部出てきてビクッとしたりもしました(笑)。

――アンケートを実施し、結果を全社で共有したあと、コアバリューづくりのワークショップが始まりました。このセッションには社員全員が参加されたのですよね。

内藤様:基本的には5回のセッションのうち、全員が一度は参加するという形で進めました。全員が関わることが正解だったのかは今でも分かりません。40名程度というのは、全員が参加可能なギリギリの規模だったと思います。とはいえ、全員となると、関わりが強くなる人とそうでない人が出てきてしまいます。反発などはありませんでしたが、もう少し発言したいと感じたメンバーはいたかもしれません。

――人数では社員のどのくらいの方が深く関わられたのでしょうか。

内藤様:私たち事務局2名の他に、あらかじめプロジェクトメンバー6人を決めており、この6人はかなり大きく貢献してくれました。

近江様:ワークショップでは、業務でディスカッションする機会のあまりない職種の違う人、例えばエンジニアとセールスが、真剣に話し合うことができたので新鮮だったという感想をもらっています。改めて「クリエイティブとは何なのか」という話もでき、貴重な機会だったという意見もありました。

――このような全社を巻き込んだ試みには「ただでさえ忙しいのに余計なことを……」といった反発の声が出たり、積極的に参加してくれるメンバーがなかなか集まらないケースもあるのですが、御社はもともとそのような風土ではないのですね。

内藤様:弊社はむしろ逆です。自分たちで会社の新しいバリューをつくりたい、変えていきたい、という思いの強い人が多いんです。こうしたプロジェクトへの関与度合いは、会社の規模や経営者との距離感、社員同士の普段のコミュニケーションにもよるのでしょうね。

――私たちループスのような外部の機関がファシリテーションに入ることについては、どのように思われましたか。ぜひ率直にお聞かせください。

内藤様:いざコアバリューをつくろうといっても自分たちにノウハウが全くありませんでしたから、一定のフレームワークを教えていただき、それに則って作成できたことは良かったと思います。

また、コアバリューづくりを進めていく上では、どうしても社員である自分たちだけでやらなければならないことも多々あります。実は悩むことも多かったのですが、その都度、電話などで相談させていただけたことは大変ありがたかったです。ループスさんのお言葉に甘え、あまり遠慮をすることなく、いろいろ相談に乗っていただきました。ありがとうございました。

――そして、ついにコアバリューが完成したのですよね。ループスがお手伝いさせていただいたワークショップ終了後、皆さんご自身で項目を集約し、完成に持っていかれました。

内藤様:ようやく2週間前(4月上旬)に全社で発表できました。できるだけ皆が覚えられるよう、ワーディングもシンプルに、「オープン&フェア」「クリエイティブ」「インパクト志向」の3つにしました。

集約のプロセスでは、「コアバリューの要素」としてワークショップで抽出された100ほどのワードの中から経営陣と事務局でグルーピングし、最終的なコアバリューにまとめていきました。その過程で、コアメンバーにも意見を聞きながらすりあわせていったのですが、折り合わないところも出てきたり、かなり活発な議論を行ないました。最終的には、代表の上坂が3つにまとめました。

――意見が分かれたのはどのようなポイントだったのでしょうか。

近江様:内容の取捨選択についてですね。先ほども申し上げたように、自分たちで作りたいという気持ちを持っているメンバーが多いので、社員一人ひとりの意見がきちんと反映されているかについてはかなり配慮しました。

内藤様:実は、ループスさんのセッションが一通り終わってからの3カ月間、かなり長い時間がかかってしまいました。何度も何度も時間をとって皆で集まって。事務局2人でワーディングを考えたこともあれば、上坂と事務局、プロジェクトメンバーも入ったミーティングなど、使った時間は思い出せないくらいです(笑)。

コアバリュー集約のために使われたグッズ

近江様:紙に書き出しては並べてみたり、議論の続きをするときも会議室をまるっきり同じ状態に再現してみたり、同じことを何度もいろいろなメンバーに向けて説明するなど、確かにエネルギーを使いました(笑)。

内藤様:社員全員から出してもらった「コアバリューの要素」というのは、一つ残らずどれも大切なものです。そして正解や不正解があるわけではありません。だからこそ、全員に共通するもの、というのを探り当てるまでに時間がかかった、ということになりますでしょうか。

――完成したコアバリューを発表して、社員の皆さんの反応はどうでしたか。

内藤様:社員にも非常に納得感があるものに仕上がったと思います。

――今後はどのようなことを進めていかれるのでしょうか。

近江様内藤様:まだコアバリューができたばかり、浸透策が始まっていないので、これからになると思います。

内藤様:自分も含めて、まずは何も見ずに言えるようになろうと思っています。そこから先の浸透策は……これから考えなければいけません(笑)。

コアバリュー作りの前にミッションも改めて考えたのですが、ミッションの浸透は社内で自主的にワークショップを行いました。「ミッションを達成するため、自分自身は何ができるのか」を考えてもらい、発表を行いました。もともと社内で行っているフリーディスカッションの場があるのですが、この場を借りて3回行い、こちらも全員に一度ずつ必ず参加してもらうというルールで実施しました。

近江様:コアバリューのセッションも近々やらなくては……(笑)。

内藤様:このような意味では、やはり外部であるループスさんにスケジュール感を先導していただくことは重要だったなと再認識しています。自分たちだけで進めようとすると、普段の業務をこなしながらということあって、ついつい後回しにしてしまったり、ペースが遅くなってしまう部分もありますので。

 

コアバリューづくりは一発勝負、プロセスはとことん透明に

――これから企業理念をつくろうと思う会社にアドバイスがあればお願いたします。このところ、外から見えている会社の姿・イメージと内部が乖離していてはいけない、ということでインナー・コミュニケーションへの関心も高まっているように感じます。

株式会社Viibar 広報 近江晶子様

近江様:一連のプロセスに参加してみて感じたのは、この組織にとってどのようなやり方が正しいのかの判断が非常に難しいということでしょうか。コアバリューをつくる機会は1社の企業にとってそう何度もタイミングがあるわけではありません。そのため、「今回はうまくいかなかったから、次回はこう変えよう」とPDCAを回すことが難しいプロジェクトです。

一度着手したら、社員への説明の仕方や議事録の共有の仕方を変えてみる、説明する人やディスカッションするチームメンバーを入れ替えるなど、細やかな調整や小さな工夫で乗り切っていくしかないと思います。

例えば、社内で進捗状況を説明する際などに、言葉足らずで誤解が生じるようなことがありました。充分気を遣ったつもりでも、なかなか伝わらないことってありますよね。

内藤様:全員が各1回しかワークショップに参加できていない中で、他の回でどのような議論が行なわれたのか、そのプロセスをもっともっと透明にして説明すべきだったな、と感じています。

近江様:事務局としては、自分が参加するセッション以外でも「いつでもセッションに参加してください」と社内に案内してはいたのですが、とはいえ、業務もありますのでなかなか複数回は参加しにくい。そのため、中には「気がついたら決まっていた」と感じた人もいたかもしれません。プロセスを透明にしたつもりが、まだまだ透明になっていなかった、ということでしょうか。

――一発勝負でやり直しがきかないこと、どのように決まっていったかというプロセスはしっかり透明化すること、最終的なアウトプットについては皆さんが納得されるように懇切丁寧に説明をしていく、つまり、ある意味できあがったものについては皆で責任を持っていく、これがまさに重要な点ですね。現場主導のコアバリュー作りには、こうしたことを意識するのが大切なのだと思いました。

近江様:今、振り返ると、辛かったけど楽しいプロジェクトだったなと思います。経営者や関わったメンバーの方たちと深い話ができ、心を通わせることができました。なかなか経験できない貴重な経験で本当に勉強になりました。


ループス・コミュニケーションズ プロジェクトメンバー:斉藤徹、原田千佳、伊藤友里

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ループス・コミュニケーションズ (looops communications)