トランスコスモス株式会社様

トランスコスモス株式会社様

組織のマネジメント力の向上を目指して

 左から
〇トランスコスモス株式会社 CX事業統括 デジタルトランスフォーメーション総括

 デジタルエージェンシー事業本部 事業企画統括部 人財開発部 人財教育課

 板橋 学 様

〇トランスコスモス株式会社 CX事業統括 デジタルトランスフォーメーション総括 
 デジタルエージェンシー事業本部 事業企画統括部 人材開発部部長
 川辺 詠巳 様

きっかけは『だかぼく』との出会い

──研修を導入した背景について教えていただけますか?
私たちの所属するデジタルエージェンシー事業本部では、コロナ禍を背景とした在宅勤務の増加にともない、会社への帰属意識やチームの一体感の低下が課題となってきました。この状況を改善するためにチームのマネージメント力の向上が求められていました。そのころに、『だから僕たちは組織を変えていける』(以下、『だかぼく』と記します。)という本に出会い、これが研修の実施に繋がりました。『だかぼく』は、シンプルな言葉で組織マネジメントについて体系立てられており、腹落ちする内容でした。この本を勧めてくれたのは、本部長でした。『だかぼく』は、まさに我々が直面している課題の解決策を示していると感じ、本部長が同様の課題感を抱き、解決策を模索していることを知り心強く感じました。hintゼミ+は、この本に書かれている内容を理解し、実践できる研修と聞いて導入を決めました。まず、2023年5月から副統括部長以上8名、2023年9月からは部長クラス12名に受講してもらいました。

──研修はどのように進められましたか?
次年度の事業計画を立てるに当たり、『だかぼく』で理解を深め、その後『だかぼく』の著者である斎藤徹さんに社内で講演していただきました。こうして社内に認知が高まった段階で、hintゼミ+という実践的なセミナーを実施しました。一度の講演だけではマインドが変わることは難しいので、継続的な取り組みが必要だと感じました。
──マネジメントの課題は具体的に何でしたか?

マネージャーの役割に対する理解不足が課題でした。当社のマネージャーの特徴としては、平均年齢が若く、プレイングマネージャーが多いことが挙げられます。このため、売り上げを上げることには成功していましたが、マネージャーとしての役割が理解されていない状態でした。また、コミュニケーション不足に起因するトラブルも増加していました。

──研修の参加者の反応はどうでしたか?

計10回、ほぼ毎週同じ曜日・時間に受講生が交流するといった形式の研修は初めてでした。毎回、事前課題に取り組むというのも初めての形式でしたが、動画を視聴し、課題を考えてからオンライン研修に臨むことで、研修時の対話がとても充実したように思います。

受講メンバーはトップダウンで参加が決められたのですが、どの参加者も積極的に研修を楽しんでいました。特に副統括部長クラスのメンバーは、業務から離れて同じ立場に立つメンバーと話す機会が貴重だったようです。

──事前課題の準備はいかがでしたか?動画視聴と課題シートの作成に大変さはありましたか?
事前課題の準備は、確かに少し大変でした。動画視聴自体は有益でしたが、時間を要する作業でした。課題シートに関しても、それなりの労力が必要でしたが、研修への理解を深めるのに役立ったので、労力は報われたと感じています。

研修を経験して生まれた化学変化

──研修実施後の変化について教えてください。

 副統括部長クラスは、同じ立場にあるメンバーとの毎週の対話により、より親密な関係性を育むことができました。hintゼミ+が終了したのちも、定期的に話し合う機会をもっているようです。部長クラスは新しい知識の習得に集中し、研修を通じてメンバー間の対話が活性化しました。部門間の関係改善にも寄与しています。

管理職は常に高いプレッシャーの中で、自分たちのケアについて誰も気にかけてくれないような状況です。しかし、この研修を通じて、みんながお互いを理解し、支え合うことの大切さを学びました。ただ、「わかるわかる」と言ってもらえるというだけで、大きな癒しになったんです。

──この新しい取り組みを始めたことで、何か良い効果はありましたか?

エンゲージメントが挙がった等の数値的変化は未だ感じませんが、受講者の中にはメンバーへの言動の変化が現れ始め、『相談しやすい』関係性が徐々に築かれつつあります。

やはり、そういう変化が大切だと思います。

 

個人的には、上の立場になるほど、心理的安全性を経験していない人が多いと感じています。この研修を通じて、「心理的安全性」の重要性を実感してもらえたのではないかと思います。否定されないというグラウンドルールの下で安心して自分の考えを話す事ができた為、『この研修は私にとってオアシスのようだった』と感想を述べた方もいらっしゃいました。その結果、感謝の言葉を発する機会が増えたり、会話の中でより生き生きとしている様子が見られました。そして、副統括部長がオブザーバーとしての役割を果たすことで、他の参加者にとっても良い経験になったようです。部長クラスの人たちは、昔の話に花を咲かせ、同期との関係が再び深まりました。過去に感謝していることや、互いに思いやりを持っていたことが話題に上がり、対話が深まったそうです。私たちは、今後もこのような絆を持ち続け、さまざまなプロジェクトで協力していけることを期待しています。

──今回の研修で取り上げられた内容が、貴社の状況にどのようにフィットしたのか、もう少し詳しく教えていただけますか?

はい、理想のマネジメントという観点から見ると、サーバントリーダーシップが最も私たちに刺さったポイントです。弊社は、多様なサービスを提供しており、サービスごとに多様な人財がおります。それぞれのサービスに求められるマネジメント力は異なりますが、私たちデジタルエージェンシー事業本部は、デジタルマーケティング分野に取り組んでおり、自分で考えて行動することの重要性が高まっています。従業員がただ指示に従うだけではなく、楽しく仕事できる環境を作るためには、マネジメントの方法を変える必要がありました。

サーバントリーダーシップとは、リーダーがチームメンバーを支援し、彼らの成長を促進するスタイルです。このアプローチは、従業員が自発的に行動することを促し、より充実した仕事環境を実現するのに役立ちます。自分自身がリーダーとしてこのスタイルを取り入れることは容易ではありませんが、毎日意識して行動することが大切ですし、そうできる場を作っていくことが大事だと感じています。

広がる学びあい・教えあいの文化

──研修の実施にあたって、事務局として工夫された点はありますか?
はい、参加者専用のslackグループを作成し、日程のリマインドや、事前課題の共有を実施しました。また、専用ドライブに資料を毎回アップロードして、進行をスムーズにしました。他にも、自発的に副統括部長が、後発で受講する部長メンバーにゼミの良さを共有していました。
──今後、他のレイヤーでの研修の実施は考えていますか?

はい、課長レベルまで研修を落とし込むことを考えています。ただ、研修になかなか時間が確保しにくいといった制約があるため、対象者の選定は慎重に進める必要があります。参加意欲の高い若手の課長は積極的に参加してくれると思います。

──その他、新しい取り組みを始めたりしましたか?

はい、だかぼくワークブックを利用し、配属された新卒に向けて「配属後研修」と称して月一で集合型オンライン研修を実施しています。hintゼミで学んだ事を活用し、私たちが「学びのサポーター」として研修をファシリテートしています。

──研修の反省点はありますか?
はい、研修の目的や意義を事前にもっと明確に伝えるべきでした。部長クラスには情報が十分に伝わっていない状況で研修がスタートしてしまいました。今後は改善が必要です。
──研修における「学びのサポーター(※)」についてのご意見を伺ってもよろしいですか?

※hintゼミ+では、毎回のグループラーニングに、だかぼくやhintゼミの内容を熟知した「学びのサポーター」を必ず参加させることにしています。「学びのサポーター」は受講生の学びを深めるための働きかけやタイムコントロールなどのファシリテーションを担当します。「学びのサポーター」には、元大企業の役職者、研修講師など様々な社会経験を有しています。

 

もちろんです。学びのサポーターには大変満足しています。特に、学びのサポーター自身の過去の経験に基づくアドバイスが非常に参考になりました。また、関連する書籍の紹介も役立ちましたね。それらのおかげで、より深い理解と実践的な知識を得ることができました

──今後の展望について教えてください。

課長以下の層への研修を検討しています。ただ、拠点ごとの対応や人選の課題があるため、慎重に進める必要があります。また、参加者の意見をもっと反映できるような形式を模索しています。

他の企業での成功事例や工夫も参考にしたいですね。例えば、ピアコーチングのシステムの導入や、研修後のフォローアップの強化などです。また、研修の目的や意義を参加者にしっかり伝えることの重要性を再認識しました。

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